香典とお墓に係る費用の取扱い

葬儀の際に遺族の方が葬儀に参列した方から香典を受領することは一般的に行われていますが、この香典は相続税の計算になにか影響があるのでしょうか?

あるいは、個人間の金銭の贈与として贈与税が課税対象となるのでしょうか?

香典は、被相続人(お亡くなりになった方)の財産ではありませんので相続税の課税対象とはなりません。また、相続税には債務控除という制度があり、一定の葬式費用を相続税の課税価格の計算から控除することができますが、この葬式費用から香典を控除する必要もありません。

個人から個人へ財産を贈与した場合、原則として贈与税の課税対象となりますが、財産の性質や目的などから贈与税が課税されないものがあります。

個人から受ける香典、花輪代等で法律上は贈与に当たるものであっても、それが社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないこととして取り扱われています(相続税基本通達213-9)。

一方、お亡くなりになった方が所有していた財産でも相続税が課税されない財産もあります。典型的なものにお墓があります。お墓は相続税の非課税財産となっています。墓地・墓石、霊びょう、仏壇、仏具等は相続税が課税されませんが、これらのもので商品、骨董品又は投資目的で所有するものは課税対象となります。

お墓に係る費用の注意点として、遺産総額から差し引くことができる債務に該当するかどうかの判定があります。相続税が課税される財産を計算する際に、お亡くなりになった方(被相続人)が死亡したときにあった債務で確実と認められるものは、相続税が課税される相続財産の価額から差し引くことができますが、相続税が課税されないお墓を借入金で購入した場合やお墓の購入代金が未払いだった場合はどのような取り扱いになるのでしょうか。

被相続人が購入したお墓については、相続税の非課税財産であるため、その非課税財産の取得に係る借入金、未払金があった場合でも相続税の課税価格の計算において差し引くことはできないこととなります。

また、お亡くなりになった後に相続人が支払った墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地をかりるためにかかった費用については遺産総額から差し引くことができる葬式費用にも該当しません。