相続で取得した不動産を譲渡した場合の税金

相続で取得した不動産について、相続人が利用しない場合は譲渡することを考える場合も多いと思います。相続した不動産を譲渡した場合の譲渡所得の計算についてご説明したいと思います。

1.取得費について
不動産の譲渡所得を計算する場合、譲渡収入(売却価額)から不動産の取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
相続で取得した不動産は、被相続人(お亡くなりになった方)の取得費が利用できます。被相続人の取得費が分からない場合は、概算取得費(譲渡収入の5%)で計算することができます。

2.税率について
個人が土地・建物を譲渡した場合、他の所得と区分して所得税と住民税を計算します。分離課税といいます。譲渡所得に対する税金は、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分し、それぞれの税率で税金を計算します。長期譲渡所得は20.315%(国税15.315%+住民税5%)、短期譲渡職は39.63%(国税30.63%+住民税9%)の税率となります。
相続した不動産の所有期間の計算については、被相続人(お亡くなりになった方)の所有期間を引き継ぎますので、長期譲渡所得として計算する場合が多いのではないかと思います。

3.相続税の取得費加算の特例について
相続税の申告期限後3年以内に譲渡した場合は、譲渡した方が納付した相続税額のうち、譲渡した不動産に対応する相続税相当額を取得費に加算して控除することができます。

4.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
被相続人(お亡くなりなった方)が住んでいた一定の空き家を相続した人が相続した日から3年後の12月31日までに、1億円以下で譲渡した場合(現行の法令では令和5年12月31日までの譲渡)、その譲渡所得から最高3000万円を控除することができます(確定申告時に添付書類が必要等、適用条件があります)。
なお、この制度は令和5年度税制改正により4年間延長され令和9年12月31日までの譲渡に適用となる予定です。