路線価図を使用する場合の注意点

相続税の土地の財産評価に使用する路線価図を使用する場合に注意する点をご説明したいと思います。

路線価図は、国税庁のホームページで公表されているほか、税務署に備え付けてあるパソコンで閲覧することが可能です。

路線価図は毎年更新されています。相続税の申告をするために土地の評価計算を行う際、どの年分を使うことになるのでしょうか。

相続税の路線価図の年分は、課税時期(相続税であれば通常は被相続人の死亡の日)の属する年分の路線価図を使って評価計算を行います。令和4年にお亡くなりになった方の申告を令和5年になって行う場合でも、路線価図は令和4年分のものを使用することになります。

 

2つ以上の路線に面している土地について、路線価方式で土地を評価する場合、正面路線価はどの路線の価格を使用するのでしょうか。

原則として、その宅地の接する各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の最も高い路線が正面路線となります。

単純に路線価の価格だけを見て判定すると誤る場合があります。

奥行価格補正率は奥行が長い場合だけでなく、短い場合についても1.00より小さい値となる可能性がありますので、ひとつひとつの路線について計算する必要があります。

 

路線価地域内にもかかわらず、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を相続税の申告の際に評価する場合があります。その際、「特定路線価設定申出書」を所轄税務署に提出することで、路線価(特定路線価)を設定することができます。

この申出書に基づき特定路線価が設定された場合は、この特定路線価を路線価とみなしてその道路のみに接している宅地を評価することになります。

なお、その特定路線価が設定された道路を私道として評価する場合は、その私道に設定された特定路線価に30%を乗じた平米単価に面積を乗じた価額で評価しても差し支えないこととされています。

また、路線価が定められている地域に所在している土地であっても路線価を使用して評価計算を行わない場合があります。

不動産業者が販売用として所有している土地は、たな卸資産となりますので、その土地の販売業者が課税時期において販売する場合の価額から、その価額のうちに含まれる販売業者に帰属すべき適正利潤の額、課税時期後販売の時までにその販売業者が負担すると認められる経費の額を控除した金額によって評価することになります。