相続税の未成年者控除の注意点

相続税には、未成年者控除という制度があります。相続又は遺贈により財産を取得した者のうちに未成年者(法定相続人のみ)がいる場合、その未成年者の納付すべき税額から一定額が控除できる制度です。

控除できる額は、(20歳-相続開始時の年齢)×10万円となっています。

また、この控除額が未成年者の相続税額(相続税額の2割加算後、贈与税額控除、配偶者の税額軽減額を控除した後の金額)より多いため、控除しきれない場合は、控除しきれない額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から控除することができます。

この場合、未成年者がそもそも財産を取得していないために相続税額がゼロである場合には未成年者控除の規定の適用がなく、扶養義務者の相続税額からも控除できないこととなっています(相続税法基本通達19の3-4)。財産を取得して一旦相続税額が算出された後に贈与税額控除額又は配偶者の税額軽減額を控除して相続税額がゼロとなった場合は、扶養義務者の相続税額から控除できることとなります。

未成年者控除をその本人と扶養義務者に適用する場合は、未成年者が相続財産を取得する必要があるということに注意が必要です。