相続税・贈与税の申告期限で注意すべきもの

相続税の申告書の提出期限は、原則、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」ですが、この「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」とは具体的にいつの日になるのでしょうか?

例えば、110日にお亡くなりになった方について相続税の申告が必要な場合、具体的に何月何日までに相続税の申告書を提出しなければならないのでしょうか?

「相続の開始があったことを知った日」とは、一般的には被相続人が死亡したことを知った日、被相続人の死亡日となる場合が多いと思いますが、正確には、「自己のために相続の開始があったことを知った日」とされています。例えば、失踪宣告を受け死亡したものとみなされた者の相続人又は受遺者については、それらの者がその失踪宣告のあったことを知った日となります。

では、具体的に110日が「相続の開始があったことを知った日」の場合の相続税の申告書の提出期限はいつの日かということですが、

110日の翌日→111

111日から10か月目→1110

となり、申告書の提出期限は1110日となります。なお、この計算した期限日が土曜日、日曜日、祝日になる場合はこれらの日の翌日の平日が期限となります。また、1229日、30日、31日に申告期限が到来するものは翌年の14日が申告期限となります。相続税の納税も申告期限までに行う必要があります。

 

相続税の申告期限はお亡くなりになった日の翌日から10か月以内となっていますが、お亡くなりになった方の税務関係で、相続税の申告期限よりも早く申告期限が到来するものがあります。

所得税・消費税の準確定申告です。

個人事業者等、確定申告をしなければならない方は通常、11日から12月末までの1年間分の確定申告を所得税は翌年の315日、消費税は331日までに行わなければなりませんが、お亡くなりになった場合は、お亡くなりになった日の翌日から4か月以内に相続人が確定申告をし、納税する必要があります。この申告を準確定申告といいます。

なお、準確定申告には相続人の氏名等を記載した「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」、「死亡した事業者の消費税及び地方消費税の確定申告明細書」を添付する必要があります。

 

相続税の申告をしなければならない方が、申告書を提出しないでお亡くなりになった場合、申告期限は延長されるのでしょうか?

ある方(A)がお亡くなりになり、相続税の申告書を提出しなければならない方(B)が、申告書の提出期限前に申告書を提出しないで死亡した場合、死亡した者(B)の相続人及び包括受遺者は、相続の開始があったことを知った日(申告義務者(B)が死亡した日)の翌日から10か月以内に、死亡した者(B)に代わって申告書を提出する義務があります。

ただし、申告期限が延長されるのは、あくまで死亡した方(B)の分の相続税の申告ですから、その他の相続人(B以外のAの相続人)については原則通り相続の開始があったことを知った日(Aが死亡した日)の翌日から10か月以内に申告書を提出することになります。

 

贈与税については、贈与を受けた方が申告する義務があり、暦年課税について基礎控除を超える額の贈与を受けた場合、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告と納税をしなければなりません。

では、贈与を受けたあと贈与税の申告をする前にお亡くなりになった方の贈与税の申告は、いつまでに誰が行うのでしょうか?

お亡くなりになった方の贈与税の申告は、贈与を受けた方の相続人が行う必要があります。

申告期限は亡くなった日の翌日から10か月以内となっています。相続税の申告期限と同じです。所得税の準確定申告よりも長い期間となっています。

お亡くなりになった方の相続税の課税対象となる財産が、この贈与を受けた財産と合わせて相続税の基礎控除を超えれば、相続税の申告も必要となります。