平成30年度税制改正における事業承継税制の改正
平成30年度の税制改正で、事業承継税制の抜本的な拡充が予定されています。
中小企業庁が作成した税制改正の資料によれば、ポイントは以下の5点です。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2017/171225zeiritu.pdf
①対象株式数上限等の撤廃
②雇用要件の抜本的見直し
③対象者の拡充
④経営環境変化に応じた減免
⑤相続時精算課税制度の適用範囲の拡充
①対象株式数上限等の撤廃については、現行制度では議決権総数の3分の2に達する部分までの株式等が対象ですが、対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合を100%に拡大することが予定されています。
②雇用要件の抜本的見直しについては、現行制度では事業承継後5年間平均で雇用の8割を維持することが求められていますが、雇用要件を実質的に撤廃することが予定されています。
③対象者の拡充については、現行制度では一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続される場合のみが対象となっていますが、複数の株主から代表者である後継者(最大3人)への承継も対象にすることが予定されています。
④経営環境変化に応じた減免については、現行制度では後継者が自主廃業や売却を行う際、株価が下落しても承継時の株価を基に贈与税・相続税を納税することとされていますが、経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合には売却時や廃業時の評価額を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額は減免することが予定されています。
⑤相続時精算課税制度の適用範囲の拡充については、現行制度では相続時精算課税制度の対象は直系卑属への贈与のみですが、事業承継税制の適用を受ける場合には贈与者の子や孫でない場合でも適用可能となることが予定されています。