教育資金の贈与税非課税制度の改正

平成30年12月14日付で平成31年度与党税制改正大綱が公表されています。今回の税制改正では、「教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の見直しがありますので、これからこの制度の利用を新たに考えている方は、注意が必要です。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の現行制度の概要は以下の通りです。
〇親・祖父母(贈与者)が信託銀行等の金融機関に子・孫(受贈者)名義の教育資金専用口座を開設し、教育資金を一括して拠出し、教育目的の支出について専用口座から払出を行う
〇子・孫ごとに1500万円まで贈与税が非課税
〇受贈者は子・孫(0歳~30歳、所得要件なし)
〇贈与者が死亡した場合に口座に残高が残っていたとしても相続税の課税対象外となる
〇適用期限は平成31年3月31日

改正の主なポイントは以下のとおりです。

1.適用期限の延長
現行制度は平成31年3月31日までですが、2年間延長となります。

2.所得要件
贈与時に受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用できないことなります。

3.教育資金の範囲
23歳以上の者の教育資金については学校等に支払われる費用等、一定の制限ができます。

4.残高に対する贈与税の課税
現行制度は30歳到達時にその時点の残高に贈与税を課税することとしていますが、①学校等に在学又は②教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合には贈与税を課税しないこととされます。その後①、②の事由がなくなった年の年末に、その時点の残高に対して贈与税を課税することとし、40歳に達した場合にはその時点の残高に対し贈与税が課税されます。

5.贈与者死亡時の残高について
贈与者の相続開始前3年以内に行われた贈与については相続開始時における残高を相続財産に加算することとなります。ただし、23歳未満である場合、学校等に在学している場合、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合は除かれます。